55-5-11(鏡の関係 12/8)
55-5-5において、「奇数の見合い」をいずれ紹介す
ると書いた。これはオックスフォード版チェス辞典内の『conjugate squares』の項
にある。『conjugate squares』とはいうまでもなく、シスター・スクエアと同義語
だ。
イレギュラー・オポジションというものがあるとチェス辞典は言う。図9に示すよう
なキングの位置関係がそれであるらしいのだが、我々のノートでは、確かに“両キング
が互いに異色のマスにいる”ことを見ればそれでいい。
そしてまた、このようなケースにおいては、“通常のオポジションと違ってシスター
スクエアに規則性がない”という説明をうのみにしておけば足りる。
図9 |
図10 |
さて、図に示された赤線の囲いが重要である。 この囲いが“h2 - b8 の対角線を軸とした線対称の関係(mirror-fashion)”に置 かれているからである。Locockはこの状態を「8マスのシステム」と呼んだらしい。 ふたつの囲いは互いに鏡に映った状態だ。 のちほど説明するデュシャン・ハルバーシュタットの研究は、つまりこのような鏡の 状態をめぐっている。 ただし、オックスフォード版チェス辞典はこのLocockの「8マスのシステム」に対し て、「興味深い観察だが,しかし,18あるシスタースクエアの半分も含んでいない」と 冷徹なのだが……。
なぜ『調停される』の考察の前に、わざわざ図10を見せたのかといえば、まずひとつ にデュシャン自身がこのLocockの研究をも基にしているからであり、今ひとつはなん とあのルーセル定跡を説明したタルタコーバの文の中でもこの「mirror-fashion」に 似た概念が言及されているからだ!!
次の項にその文を示そう。
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