55-8-8(透視図に関する三つのルネサンス文書 3/22/2001)



(その3)


 以上のように糸を伸ばすと、定位置から見える視界を線にすることが出来るばかりでなく、その場を 離れて側面や上部を調べることが可能だし、覗き穴と対象物の角度や関係を計測することも出来る。糸 によってあらわされた視界のピラミッドが横切る様々な部分はそれほどの大きさなのか、形はどうか、 箱の底面からの高さはどれほどか。覗き穴とチェッカー盤の間の所与の点を見ることで、それらは簡単 にわかる。しかし、糸がなければ確実に困難になるだろう。  とはいえ、チェッカー盤のすべての交点から糸を伸ばす必要は操作的にはなく、同様の理論的、実践 的な結果は隣り合った辺の交点をひとつおきにし、さらに残った角からも糸を伸ばせば得られる。これ は図によって我々が示した通りである。


参考までに「図6」


 計測の最も簡単な方法は、古代の大工や石工が型板を切ることで塑造物やでこぼこした表面の正確な
形を知ったやり方に従えばよい。型板は単に薄い板片でよく、一方の端をゆっくりと注意深く切ること
で得られる。作業を終えると、塑造物やでこぼこの表面にぴたりと合うだろうし、記録が出来るのであ
る。糸に沿って型板を切れば、糸の通り道に触れる形が出来、糸の束のどちらかの側が箱の底に届くこ
とになる。こうすれば、覗き穴とチェカー盤の間のどの位置においても、糸の横切る部分を計ることが
出来る。

 チェッカー盤に近づくほど型板は低く広くなり、糸の横切る部分も同様である。覗き穴に近づくほど
型板は高くなり、その幅は糸の横切る部分をあらわす。もし、チェッカー盤が覗き穴に対面して置かれ
れば(# it is placed at the eyehole)、横切る部分はそのまま小さな穴となり、箱の底面から覗き
穴までの高さをあらわすことになる(# ??)

 ということは、もし穴とチェッカー盤の間のどこかで糸の形に沿って型板を切れば、多かれ少なかれ
図4のようになり、なったとすると計測位置から覗き穴を離れる方向にずらしていけることになる。糸
は上がっていくからである。
 しかし、型板の上の頂点を覗き穴の位置に合わせ、下を遠く糸の端とチェッカー盤のカドに合わせて
図5のように三角形に切り出したとすれば、型板をどちらの方向にでもずれすことが可能になる。この
型板なら、どんな所与の位置に置いても、糸の高さを示すことが出来るのだ。我々はこの第二の型板を
使う。(図7を見よ)


「図4」



「図5」



「図7」


 こうすることで、幾何学や透視法を知らなくても、箱のいかなる場所に置かれた仕切り板にもチェッ
カー盤の正確な透視図を描くことが出来よう。
 この方法の難しい点は、模型の中に置ける大きさの単純な形の物体にのみ使えることで、糸も覗き穴
から伸ばせる範囲でなければならない。そこで、次に大きく、遠くにある物体を模型の中に入れても図
が描けるような方法を見つけ出すことになる。


 #アイヴァンスの『見えるものの理性化』は、「55ノート」のトップページに移したので、今後拙
  い急ぎのこの翻訳は、そちらで続けることにする。
 #うーむ、なんとか「エピステーメー」の1977年11月号が手に入らないものか!!  
 
 

 


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