55-5-10(オポジションの研究6 12/6)



 55-5-6の後半を訂正した。  99年12/6以前に読んだ方は立ち寄っておいて欲しい。

 さて、オポジションのおおまかな姿はつかんだ。  だが、まだ考えておかねばならないことがある。  なぜならデュシャンとハルバーシュタットが書いたのは、あくまでも『オポジション と“キング支配の特殊マス目”問題は調停される、によって』、つまり『オポジション とシスタースクエアは調停される、によって』(また改名しました)だからである。  調停されねばならないとすると、オポジションとシスタースクエアは対立する、また は少なくとも統一されていないのだ。

 我々が手早く学んだオポジションの概念では、大文字と小文字のA〜Dが必ず対をなし ていた。そして、この対をなすコマ、すなわち互いのキングが支配している(せざるを 得ない)コマがシスタースクエア(姉妹マス)なのであった。  すなわちオポジションとシスタースクエアは切っても切れない関係であるはずだ。  だが、デュシャンは『調停される』の緒言冒頭でこういう。

ハ 「この二十年間、チェス文献内でやっかいな説として持ち上がってきている問題を、我々 は好奇心から明らかにした。  オポジションか、<シスター・スクエアズ>  単純にいえば、  オポジションと、<シスター・スクエアズ>  この問題に対する多くの論争を読んでみると、この専門用語に関する混乱の大半は不 完全な印刷上の配置によって起こっているのである」

 つまりデュシャンは「オポジションかシスタースクエア」ではなく、「オポジション とシスタースクエア」といえばいいと主張する。両者は対立しているのではなく、併存 しているのだ。そう言っているらしいのである。  デュシャン以前には両者が「か」で結ばれていたことになる。  異る概念として把握されていたことになる。 『調停される』は異る概念の一致を解いた本なのである。

     



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