55-3-4(タルタコーバ)
さて、このルーセルの、すなわち僕の考え方では黒として白デュシャンに戦いを挑む模倣者
の背後にいたのが、すなわちタルタコーバであった。彼らは「頻繁にカフェ・ド・ラ・レジャ
ンスあるいはパリのクラブで会った」とカラデックは書いている。
デュシャンが晩年のルーセルを見かけたのが当のカフェ・ド・ラ・レジャンスであるからに は、タルタコーバにもまた出会っていたことになる。チェス盤をはさんで座る二人の姿をデュ シャンは見たのだ。
だが、デュシャンはそこで黒ずくめのルーセルを見たとしか言わない。
これは前回とはまた別の意味で異常な発言だとも取れる。
なぜならば、デュシャンはとうの昔にタルタコーバと知り合っていたからだ。それもちょっ とした顔見知りなどというレベルの知人ではないのである。
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